生きづらさと向き合うエッセイ:『死ぬまで生きる日記』

【無類の本】

『死ぬまで生きる日記』は、文筆家・土門蘭(どもん らん)氏が、自身の「死にたい」という感情と向き合いながら生きる日々を綴ったエッセイです。10歳の頃から20年以上にわたり抱えてきた希死念慮を、カウンセラーとの対話を通じて掘り下げ、自己理解を深めていく過程が描かれています。本書は、同名のWEB連載が大きな反響を呼び、2023年4月に生きのびるブックスから書籍化されました。

📖 本書の概要

本書は、著者が「死にたい」と感じる自分を否定せず、その感情の根源を探り、言葉にしていく過程を記録したエッセイです。カウンセラーとの対話を通じて、自身の過去や感情と向き合いながら、生きづらさを抱えるすべての人に寄り添う内容となっています。

🔑 主なポイント

1. 「死にたい」感情の正体を探る

著者は、日常生活を送る中で「楽しい」「嬉しい」といった感情を感じながらも、ほぼ毎日「死にたい」と思っていたと告白しています。その矛盾する感情の背景を、カウンセラーとの対話を通じて掘り下げていきます。

2. 自己理解と感情の言語化

カウンセリングを通じて、自分自身の感情や思考を言語化し、理解を深めていく過程が描かれています。「死にたい」という感情を他の言葉に置き換えることで、自分自身を受け入れる手助けとなっています。

3. 過去の捉え直し

「過去は変えられなくても、捉え直すことはできます」というカウンセラーの言葉をきっかけに、著者は自身の過去を新たな視点で見つめ直します。過去の出来事や感情を再解釈することで、自己理解を深めていきます。

4. アイデンティティの探求

著者は日本人の父と韓国人の母の間に生まれ、両親の離婚後は日本語を話せない母と共に日本で生活してきました。その中で感じてきたアイデンティティの揺らぎや孤独感が、希死念慮の背景にあることが明らかにされます。

5. 書くことの効能

著者は「本当のことを書きたい」との思いから、自身の感情や体験を文章に綴っていきます。書くことを通じて自己理解を深め、読者との共感を生み出しています。

✨ この本の魅力

1. 誠実な自己開示

著者は自身の感情や体験を隠すことなく、誠実に綴っています。その率直な語り口が、読者の心に深く響きます。

2. カウンセリングの疑似体験

カウンセラーとの対話が詳細に描かれており、読者はまるで自分自身がカウンセリングを受けているかのような感覚を味わえます。

3. 共感と寄り添い

生きづらさや希死念慮を抱える読者にとって、著者の体験や思考は共感を呼び、心の支えとなります。

4. 読後の余韻

重たいテーマを扱いながらも、著者の丁寧な語り口により、読後には穏やかな気持ちが残ります。

👥 こんな方におすすめ

  • 生きづらさや希死念慮を抱えている方
  • 自己理解を深めたいと考えている方
  • カウンセリングに興味がある方
  • 他者の体験を通じて共感や気づきを得たい方

📚 おすすめの読み方

1. ゆっくりと読み進める

本書は感情に深く触れる内容が多いため、無理せず自分のペースで読み進めることをおすすめします。

2. 感情を感じながら読む

著者の体験や感情に共感し、自分自身の感情と向き合いながら読むことで、より深い理解が得られます。

3. 必要なときに再読する

本書は、心が疲れたときや自己理解を深めたいときに再読することで、新たな気づきを得られる一冊です。

📝 まとめ

『死ぬまで生きる日記』は、著者・土門蘭氏が自身の「死にたい」という感情と向き合いながら生きる日々を綴ったエッセイです。カウンセラーとの対話を通じて自己理解を深め、生きづらさを抱えるすべての人に寄り添う内容となっています。誠実な自己開示と共感を呼ぶ語り口により、読者の心に深く響く一冊です。

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